武士ざむらい)” の例文
私は田舎武士ざむらいで様子が知れぬから、面倒と思って、逃ると追掛おっかけたから、是はたまらんと思って当家へ駈込みお店を荒して済みませんが
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
彼は家中の若武士ざむらいと槍を合わし、剣を交じえ、彼らを散々に打ち負かすことによって、自分の誇りを養う日々のかてとしていたのであった。
忠直卿行状記 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
不破小四郎を取り囲んで、朽木くちき三四郎、加島欽哉きんや、山崎内膳ないぜん、桃ノ井紋哉もんや、四人の若武士ざむらいが話しながら、こっちへ歩いて来るのであった。
血ぬられた懐刀 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「これ、お通さん何をいう。わしは戯れ口をいっているのではない。真実をいっているのだ。能なしだから能なし武士ざむらいといった。それが悪いか」
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「よくよくの腰抜武士ざむらいだね。たまに切れば女で、それに一生たたられるなんて」
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
どこの田舎の武士ざむらい。——一応はそうとしか見えない手織木綿のごつい羽織に野袴のばかまという旅拵たびごしらえ。——けれど大小が図ぬけていい。立派な差料さしりょうである。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一人は主人の徳大寺卿で、一人は公卿武士ざむらいの清左衛門であった。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
正体のはっきりしないふたまた武士ざむらいじっていたが、徐々、そういうのが去って、選ばれた者だけになった今日では、もうそんな警戒や会則もるまいというのが
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
忽然こつぜんと姿を消し、福知山の城下へ入ろうとして果さず、由良の伝吉を激流の瀬へ投げこんだまま、いずこともなく立ち去った鐘巻自斎を、平凡な田舎武士ざむらいと見て、枕さがしの毒手を伸ばしたのは
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)