“橙(オレンジ)” の例文
周囲(ぐるり)の団子雲を見ていると、いつとなく(私は揺する、感じる、私は揺する)の、甘い詩の橙(オレンジ)が思い出されてきて、心に明るい燦爛(プントハイト)が輝くのだ。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
なんの気なしに「座長、一天斎驚倒師」と大きく朱で書いてある橄欖(オリーブ)と橙(オレンジ)のリボンで飾られた写真姿を見たとき
寄席 (新字新仮名) / 正岡容(著)
ちょうど蝋細工(ろうざいく)の新婦の人形があって、首筋をあらわにし橙(オレンジ)の花を頭につけ、窓ガラスの中で二つのランプの間にぐるぐる回りながら、通行人に笑顔(えがお)を見せていた。
早く早くと喚(わめ)くを余所(よそ)に、大蹈歩(だいとうほ)の寛々(かんかん)たる老欧羅巴(エウロッパ)人は麦酒樽(ビイルだる)を窃(ぬす)みたるやうに腹突出(つきいだ)して、桃色の服着たる十七八の娘の日本の絵日傘(ゑひがさ)の柄(え)に橙(オレンジ)色のリボンを飾りたるを小脇(こわき)にせると推並(おしなら)び
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
それは水上噸(トン)数約四百噸ばかりの沿岸艇で、橙(オレンジ)色に染め変えられた美しい船体は、なにか彩色でもした烏賊(いか)の甲のように見えたが、潜望鏡と司令塔以外のものはいっさい取り払われて
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
釈放せられた翌日、グラスにおいて、彼は橙(オレンジ)の花の蒸溜所(じょうりゅうじょ)の前で人々が車から荷をおろしているのを見た。彼はその手伝いをしたいと申し出た。仕事は急ぎのことだったので、働くことが許された。