横恋慕よこれんぼ)” の例文
素人しろうとでございましても、色の恋のというまでもなく、得心ずくでしたら、そりゃ横恋慕よこれんぼもかなうことがございましょう、毛唐とはいえ
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
横恋慕よこれんぼをしていた、腹の立つお京とはいえ、そういう、女としての愛情の真実さには、マンも、心の奥底で同感をおぼえている。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
「手をひくどころか、いよいよ意地をげての横恋慕よこれんぼです。おまけに手をかえ、品をかえて、甲賀家の財宝まで、おのれの物にしようという腹……太い野郎でございます」
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その留守るすにまた、或貴族が、彼の(即ち、身分のある男の)妻に横恋慕よこれんぼをした。が、彼れの妻は、その貴族の誘惑いうわくに陥らなかつたばかりでなく、さんざん侮辱を加へさへした。
日本の女 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
この夜泣きの刀に、あらぬ横恋慕よこれんぼを寄せたのが、名だたる蒐刀家の相馬大膳亮。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
インドで贅沢ぜいたくな生活を続けて、一男一女を挙げたが、土人の庭師が、マタ・アリへの横恋慕よこれんぼから彼女の長男を毒殺したので、マタ・アリが良人おっと拳銃ピストルで庭師を射殺した事件が持ちあがって
戦雲を駆る女怪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
利太郎の横恋慕よこれんぼにどの程度の熱意があったか知るべくもないが若年の頃は誰しも年下の女より年増としま女の美にあこがれる恐らく極道の果てのああでもないこうでもないがこうじたあげく盲目の美女に蠱惑こわく
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)