構造かまえ)” の例文
牢獄ひとやのような大きな構造かまえの家がいかめしいへいを連ねて、どこの家でも広く取り囲んだ庭には欝蒼うっそうと茂った樹木の間に春は梅、桜、桃、すももが咲きそろって
山の手の子 (新字新仮名) / 水上滝太郎(著)
そして構造かまえの大きな農家らしき家の前に来ると、庭先で「左様なら」と挨拶して此方こちらへ来る女がある、その声が如何いかにもおしょうに似ているように思われ、つい立ちどまってると
恋を恋する人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
この家は小さい陣屋のような構造かまえで、もんの前には細いながれを引きめぐらし、一けんばかりの細い板橋がわたしてある。家の周囲は竹藪に包まれて、藪垣やぶがきの間から栗の大木が七八本そびえていた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
周囲を廻れば五町もあろうか、主屋おもや離室はなれ、客殿、ちん厩舎うまや納屋なやから小作小屋まで一切を入れれば十棟余り、実に堂々たる構造かまえであったが、その主屋の一室に主人紋兵衛はせっていた。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)