しぢ)” の例文
百夜もゝよしぢはしがきに、今や我も數書かずかくまじ、只〻つれなき浮世とあきらめても、命ある身のさすがに露とも消えやらず、我が思ふ人の忘れ難きを如何いかにせん。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
高い車蓋やかたにのつしりと暗を抑へて、牛はつけず黒いながえを斜にしぢへかけながら、金物かなもの黄金きんを星のやうに、ちらちら光らせてゐるのを眺めますと、春とは云ふものゝ何となく肌寒い氣が致します。
地獄変 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
われひとりしぢに身をのべ
一点鐘 (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
稽古の窓に向つて三諦止觀さんたいしくわんの月を樂める身も、一てう折りかへす花染はなぞめ幾年いくとせ行業かうげふを捨てし人、百夜もゝよしぢ端書はしがきにつれなき君を怨みわびて、亂れくるし忍草しのぶぐさの露と消えにし人
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
高い車蓋やかたにのつしりとやみを抑へて、牛はつけず黒いながえを斜にしぢへかけながら、金物かなもの黄金きんを星のやうに、ちらちら光らせてゐるのを眺めますと、春とは云ふものゝ何となく肌寒い気が致します。
地獄変 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)