極暑ごくしょ)” の例文
「君、今ごろでも薄いリボンをかけるものかな。あれは極暑ごくしょに限るんじゃないか」と聞いた。与次郎はアハハハと笑って
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
一日あるひ晩方ばんがた極暑ごくしょのみぎりでありました。浜の散歩から返ってござって、(和尚おしょうさん、ちっと海へ行って御覧なさいませんか。綺麗きれいな人がいますよ。)
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ここにグヅ/\して居ると例の若武者がきっやって来るに違いない、来ればその目指すかたきは自分一人だ、幸い夜の明けぬ中に船をあがって陸行するにくはなしと決断して、極暑ごくしょの時であったが
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
月青くかゝる極暑ごくしょの夜の町
五百五十句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
極暑ごくしょの、ひでりと言ふのに、たとひ如何いかなる人気にせよ、湧くの、えるのなどは、口にするも暑くるしい。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
いささかこのあたりへ用事があっての。当年たった一度、極暑ごくしょみぎり参ったばかり、一向に覚束おぼつかない。その節通りがかりに見ました、おおきな学校をあてにいたした処、唯今ただいま立寄って見れば門が違うた。
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)