柿本人麿かきのもとのひとまろの画像を懸けて人麿忌が営まれるようになる。このような空気の中で、六条清輔、顕昭法橋はことに万葉の学に精しかった。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
そのことをおはなしするのには、いま一人ひとり赤人あかひと先輩せんぱいとも、先生せんせいともいはなければならない、柿本人麿かきのもとのひとまろのことをまをさねばなりません。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
万葉まんよう』の歌人山辺赤人やまべのあかひとになりますと、自然の景色をうたうことが最も得意でありました。柿本人麿かきのもとのひとまろにしましても景色を諷った歌もたくさんにあります。
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
中には柿本人麿かきのもとのひとまろとか山部赤人やまべのあかひととか学問のあった人も無論いたでありましょうが、「読み人知らず」の歌の中には必ずや文字の読めぬ作者もいたに違いありません。
沖縄の思い出 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
誰もそれを想像しないわけにはいかないのですが、拙者はこの歌を酷愛する一人であるにかかわらず、この歌の持つ空間性に、まだ疑いが解けきれないというのは、第一、柿本人麿かきのもとのひとまろという人が
つまり日本の宮廷に漢詩の雅宴が催されるようになって後の作なのである。有名な柿本人麿かきのもとのひとまろだってその例にれない。彼の作は読む詩の初頭をかざる力作であったのである。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
柿本人麿かきのもとのひとまろは、平安朝へいあんちようすゑになると、神樣かみさまとしてまつられるほど尊敬そんけいをうけるようになりました。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
何も柿本人麿かきのもとのひとまろ山部赤人やまべのあかひとだけが大歌聖ではなく、読み人知らずの歌に、どんなに優れたものがあるでしょう。万葉を生み出した背後の雰囲気は、驚くべきものだと思います。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
万葉の歌人柿本人麿かきのもとのひとまろを紙祖とあがめますが、この歌聖は石見の人でありました。歌と紙とには縁が濃いでありましょう。おそらく紙漉の技は最初朝鮮から教わったろうと思われます。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
八、日本につぽん短歌たんか第一人者だいいちにんしや柿本人麿かきのもとのひとまろ
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)