木曾街道きそかいどう)” の例文
木曾街道きそかいどうの宿々村々にいてそれを伝え聞く人民の間にまで和宮様かずのみやさま御降嫁の当時にもまさる深い感動をよび起こすようになった。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
木曾街道きそかいどう奈良井ならいの駅は、中央線起点、飯田町いいだまちより一五八マイル二、海抜三二〇〇尺、と言い出すより、膝栗毛ひざくりげを思う方が手っ取り早く行旅の情を催させる。
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ここは木曾街道きそかいどう、東海道、北国街道ほっこくかいどう、三道のわかれ道で、いずれを取るもその人の心まかせ。伊那丸は三井寺山みいでらやまのふもとに立ち、魚鱗ぎょりん小波さざなみをたたえている琵琶びわのみずうみをながめながらかんがえた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
どうやら彼はこの旅を果たし、供の平兵衛と共に馬籠まごめの宿をさして、西から木曾街道きそかいどうを帰って来る途中にある。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
私が、貴女あなたほどお美しければ、「こんな女房がついています。何のやどが、木曾街道きそかいどうの女なんぞに。」と姦通まおとこ呼ばわりをするそのばばあに、そう言ってやるのが一番早分りがすると思います。
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
木曾街道きそかいどう方面よりの入り口とも言うべき板橋から、巣鴨すがも立場たてば本郷ほんごう森川宿なぞを通り過ぎて、両国りょうごく旅籠屋はたごや十一屋に旅の草鞋わらじをぬいだ三人の木曾の庄屋しょうやがある。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)