木地きぢ)” の例文
そして、フーゼリンを全く拔き取つたアルコールをナラのおほ樽に入れて置くと、たる木地きぢと和合して、純粹のヰスキが出來る。
泡鳴五部作:04 断橋 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
やがまたれい丸太まるたわたるのぢやが、前刻さつきもいつたとほりくさのなかに横倒よこだふれになつてる、木地きぢ丁度ちやうどうろこのやうでたとへにもくいふがまつうわばみるで。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
くさいもののふたれば肥桶こえたごで、美事な形式をぐと大抵は露悪になるのは知れ切つてゐる。形式丈美事だつて面倒な許だから、みんな節約して木地きぢ丈で用を足してゐる。甚だ痛快である。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
思へばこの永の年月としつきいつも裸にして傷つき易く激し易かりし吾が心の木地きぢ
展望 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
その裸なるをよしとし、露骨むきつけなるをよしとしたわが心の木地きぢ
展望 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)