暗示ヒント)” の例文
多分彼らは途中ヨブについて種々の悪評を耳にしこれを打消しつつ来りしも、疑もなくそれはある暗示ヒントを彼らに与えたに相違ない。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
この、表面白っぽく間の抜けた底に、どこか田舎者めいた強情な狡猾さがぷうんとにおって、決してこれだけが全部でないことを暗示ヒントしていた。
東洋趣味オリエンタリズムの珍らしがられた時代に故人も支那の漆噐の色や模様などから暗示ヒントを得て自身の意匠で作らせた一室がある。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
何の用意があるわけでもありませんが、こうして生きた人間の表情の動きを見ているうちに、何か暗示ヒントつかむのが、平次の一つのやり口でもあったのです。
「イヤ。別に暗示ヒントという訳でありませんが、しかし、それはソンナに遅くまで、轟九蔵氏と天川呉羽嬢があの事務室に居た証拠として考えてはいけないでしょうか」
二重心臓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
幸い師の三要から暗示ヒントを与えられた鯉魚の二字を守って、守りこうと決心したのですが、どの問いに対しても鯉魚鯉魚と答えていると、不思議にもその調法さから
鯉魚 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
一體わが國の學者の多數は、西洋人の所説を其の儘取り次ぐか、若くは多少之を敷衍するか、然らずとも彼等の暗示ヒントによりて研究の題目を得るといふに過ぎぬ。先生は決して左樣でない。
那珂先生を憶う (旧字旧仮名) / 桑原隲蔵(著)
友人はこれに暗示ヒントを得て、脅迫団の名を無断拝借して、親父ちちおやを脅迫しようとしたのだ。私は何だか探偵小説で之と似たような事を読んだような気がする。友人もそれから思いついたのかも知れない。
急行十三時間 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
そうだな、この暗示ヒントでぞっとするような迷信が一つこさえられるぜ。
黄金虫 (新字新仮名) / エドガー・アラン・ポー(著)
僕はあれから、今度の事件について一つ暗示ヒントを得たんだがなあ
少年探偵呉田博士と与一 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
何の用意があるわけでもありませんが、斯うして生きた人間の表情の動きを見てゐるうちに、何か暗示ヒントを掴むのが、平次の一つのやり口でもあつたのです。
「ははあ……重大な暗示ヒントですなあ。それは……」
二重心臓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「本当とも、もっともそれは暗示ヒントだけだ、あとは、あの劇場のちらしの裏を、赤い光線で読んで万事を知ったのだ」
青い眼鏡 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
暗示ヒント? 何の暗示だというのだね」
二重心臓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
何か暗示ヒントを掴もうとしましたが、よほど良く訓練されたものと見えて、美しい顔は蝋細工のように無表情で、何んな些細なことも引き出せそうはありません。
今晩、そのために私は、あのカフェー人魚シレネへ行って居たのだよ。あすこは、新聞記者の巣見たようなところだから、出入の人の話を聴いて居る内に、何んか暗示ヒント
女記者の役割 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
平次はガラツ八と一緒に、お濱を相模屋へ送つて行きましたが、何か、新しい暗示ヒントを得たものか、もう一度家の中から納屋まで、ガラツ八を手傳はせて、洗ひざらひ探し拔きました。
平次はガラッ八と一緒に、お浜を相模屋へ送って行きましたが、何か、新しい暗示ヒントを得たものか、もう一度家の中から納屋まで、ガラッ八を手伝わせて、洗いざらい探し抜きました。
とオロオロするだけで、此娘からは證據も暗示ヒントも掴む工夫はありません。
これは實に、恐ろしくも痛い暗示ヒントです。