日本魂やまとだましい)” の例文
頭の古い私を月並な日本魂やまとだましいと、義理人情で責め立てて、木ッ葉微塵に飜弄しつつ、ぐんぐんと死の陥穽かんせいの方へ引きずり込みつつあるのだ。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
我国固有の国民思想を保存し涵養かんようさせるのでも、いつまでも源平時代の鎧兜よろいかぶとを着た日本魂やまとだましいや、滋籐しげどうの弓をげた忠君愛国ばかりを学校で教えるよりも
変った話 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
やはり学問が第一でございます。日本魂やまとだましいをいかにかせて使うかは学問の根底があってできることと存じます。
源氏物語:21 乙女 (新字新仮名) / 紫式部(著)
いつも画学と習字にかけては全級誰も及ぶもののない長吉の性情は、鉄拳てっけんだとか柔術だとか日本魂やまとだましいだとかいうものよりも全くちがった他の方面に傾いていた。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
その説の一つには、柳田さん、日本魂やまとだましいと日本人の坐り方とには、深い関係があると私は思うがどうか。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
幕臣また諸藩士中の佐幕党さばくとうは氏を総督そうとくとしてこれに随従ずいじゅうし、すべてその命令に従て進退しんたいを共にし、北海の水戦、箱館の籠城ろうじょう、その決死苦戦の忠勇ちゅうゆう天晴あっぱれ振舞ふるまいにして、日本魂やまとだましいの風教上より論じて
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
それは一つには日本魂やまとだましいの力、二つには酒の力だった。
将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
砲煙弾雨の中に身命をして敵の陣営に突撃するのもたしかにたっと日本魂やまとだましいであるが
天災と国防 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
ほとんど人跡未到な山の中の道のない所に道を求めあらゆる危険を冒しても一本の線にも偽りを描かないようにというその科学的日本魂やまとだましいのおかげであの信用できる地形図が仕上がるのである。
地図をながめて (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)