旅人たびと)” の例文
しな照る 片岡山かたをかやまに いひて こやせる 旅人たびとあはれ 親無おやなしに なれりけめや 剌竹さすたけの きみはやき いひて こやせる 旅人たびとあはれ
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
「しなてる片岡山に、いいこやせる、その旅人たびとあはれ。親なしになれなりけめや、さすたけの君はやなき、飯に飢て臥せる、その旅人あはれ」
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
ことし四十を二つ三つ越えたばかりの大伴家持おほとものやかもちは、父旅人たびとの其年頃よりは、もつと傑れた男ぶりであつた。併し、世の中はもうすつかり変つて居た。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
旅人たびとの歌に、「湯の原に鳴く葦鶴あしたづはわが如くいもに恋ふれや時分かず鳴く」(巻六・九六一)というのがある。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
旅人たびとわれ汽車の窓べを飛びぐる木の葉のごとし風に追はれぬ
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
上宮太子じょうぐうたいしの「家ならば妹が手まかむ、草枕旅にこやせる、この旅人たびとあはれ」という歌も、『紀』に録するところの
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
ことし、四十を二つ三つ越えたばかりの大伴家持おおとものやかもちは、父旅人たびとの其年頃よりは、もっと優れた男ぶりであった。併し、世の中はもう、すっかり変って居た。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
聖徳太子の歌に、「家にあらば妹が手かむ草枕旅にこやせるこの旅人たびとあはれ」(巻三・四一五)があった。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
家に在らば いもかむ 草枕くさまくら 旅にこやせる 旅人たびとあはれ
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
既に旅人たびとの歌のところで解釈した如く、柔かく消え易いような感じに降ったのをハダラニ、ホドロニというのであって、ただ「うっすらと」というのとは違うようである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)