方天戟ほうてんげき)” の例文
朱地錦あかじにしきの百花戦袍かせんぽうを着たうえに、連環れんかんよろいを着かさね、髪は三叉さんしゃつかね、紫金冠しきんかんをいただき、獅子皮ししひの帯に弓箭きゅうせんをかけ、手に大きな方天戟ほうてんげきをひっさげて
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
広東カントンの勇士が方天戟ほうてんげきを操る如く、南洋の土人がブーメラングをろうする如く、米友は杖槍を投げては受留め、受留めては投げながら、川中島の川原の中でひとりたわむれている。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
兄のしんは、大斧をよくつかい、弟のしん方天戟ほうてんげきの妙手として名がある。兄弟しめし合わせて、彼を挟み討ちに
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
最前から轅門の外に、黒馬に踏みまたがって、手に方天戟ほうてんげきをひっさげ、しきりと帰る客を物色したり、門内をうかがったりしている風貌非凡な若者がある。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
呂布は、馬首を高く立て楽就の駒を横へ泳がせ、画桿がかん方天戟ほうてんげきをふりかぶったかと思うと、人馬もろとも、楽就は一抹の血けむりとなって後ろに仆れていた。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
方天戟ほうてんげきをふりかぶって、真二つと迫ったが、張飛はすばやく、鞍横へ馳け迫って
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
呂方は、あだ名を小温侯しょうおんこうという、根は生薬屋きぐすりやあがりだが、方天戟ほうてんげきの無双な達人。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この六万の大将は鄂煥がっかんといって、面は藍墨あいずみで塗った如く、きばに似た歯を常にくちの外に露わし、怒るときは悪鬼の如く、手に方天戟ほうてんげきを使えば、万夫不当、雲南随一という聞えのある猛将だった。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)