数日すじつ)” の例文
旧字:數日
九月末にいたり、黄海の捷報しょうほうは聞こえ、さらに数日すじつを経て負傷者のうちに浪子は武男の姓名を見いだしぬ。浪子は一夜眠らざりき。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
数日すじつを経て果して案内状を送り来りければ、両親および学生友人をいざないて見物せしに、なるほど一座の進歩驚くばかりなり
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
田甫道に出るや、彼はこの数日すじつの重荷が急に軽くなったかのように、いそいそとみちを歩いたが、我家に着くまでほとんど路をどう来たのか解らなんだ。
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
天気朦朧もうろうたる事数日すじつにして遠近ゑんきん高山かうざんはくてんじて雪をせしむ。これを里言さとことば嶽廻たけまはりといふ。又うみある所は海鳴うみなり、山ふかき処は山なる、遠雷の如し。これを里言に胴鳴どうなりといふ。
無形の猿轡さるぐつわまされて腹のふくるゝ苦しさよ、くて幽玄のうち数日すじつけみせり。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それより数日すじつにして爆発物も出来上りたり、いよいよ出立という前の日、磯山の所在分らずなりぬ。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
田崎が東に帰りし後数日すじつにして、いずくよりともなく一包みの荷物武男がもとに届きぬ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
それより数日すじつを経て、板伯はんはくよりの来状あり、東京に帰る有志家のあるを幸い、御身おんみと同伴の事を頼み置きたり、ぐによ紹介せんとの事に、取りえず行きて見れば
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)