数々しば/\)” の例文
旧字:數々
思ふに山王台の月の夜は斯る楽い仲間に数々しば/\占領せられるのでしよう。独でぼんやりベンチに腰かけて居た僕は急につまらなくなつて帰宅しました。
夜の赤坂 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
多くの新聞には、兼吉が是れ迄も数々しば/\小米こよねと云ふ婦人に金の迷惑を掛け、今度の凶行も、婦人が兼吉の無心を
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
たれにか棄てられけむ、一頭いつとう流浪るらうの犬の、予が入塾の初より、数々しば/\庭前ていぜん入来いりきたり、そこはかと𩛰あさるあり。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
わたしの故に数々しば/\教会に御迷惑ばかり掛けて、実に耻入はぢいる次第であります、私を除名すると云ふ動機——其の因縁いんねんは知りませぬが、又たそれを根掘りするにも及びませぬが
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
や、左様さうばかりも言へないでせう、現に高等学校に居る剛一と云ふ長男むすこの如きも、数々しば/\拙宅うちへ参りますが、実に有望の好青年です、父親おやの不義に慚愧ざんきする反撥力はんぱつりよくが非常にさかん
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)