うやうや)” の例文
ちゆふ老人の帳場番頭の居ること、制服のギヤルソンが二三人うやうやしさうに立つて居ること、これ等はどの国の旅館ホテルも少しの違ひがない。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
うやうやしく、うながす。もっぱら常務に敬意を払って、マニ教を自宅のように心得たなれなれしさ。するとノブ子がツと進みでて、常務の靴のヒモをときはじめる。
現代忍術伝 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
亭乎すらりとした体を真直まつすぐにして玄関から上つて行くと、早出の生徒は、毎朝、控所の彼方此方かなたこなたから駆けて来て、うやうやしく渠を迎へる。中には態々わざわざ渠に叩頭おじぎをするばつかりに、其処に待つてゐるのもあつた。
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)