救出すくいだ)” の例文
十九年前蘇武に従って胡地こちに来た常恵じょうけいという者が漢使にって蘇武の生存を知らせ、このうそをもって救出すくいだすように教えたのであった。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
玉村父子救出すくいだしの見込みが立つと、明智はもう、その場にクズクズはしていなかった。彼は早くも、妙子さんの姿のないことを見て取り、文代に尋ねると
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
如何いかにもして彼等を救出すくいだして我が信ずる所に導かんと、有らん限りの力をつくし、私の真面目しんめんもくを申せば、日本国中の漢学者は皆来い、乃公おれが一人で相手になろうと云うような決心であった。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
抱妓かかえの一人も置いてやろう、と言うものがあったけれども、母親はこれをおのれかんがみ、たといそうして所得が有って身代が出来た処で、けがれた金で蝶吉を救出すくいだしては、きっと末がよくあるまい。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
皮膚は破れ、肉はさけ、死する者数知れず、その救出すくいだしにわれらは総力をあげているが、このとおりまだ救い出しきらないのだ。どうです、君たちヤマ族が見ても気持ちのいい光景じゃないでしょう
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
島のどこかに隠れていて、道雄なり秀ちゃんなりを、救出すくいだす手だてを講じなければならぬ。
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「それにしても、この可哀想な不具者を見て、何故救出すくいだそうとしなかったのでしょう」
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
被害者の救出すくいだしに努力した。
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)