さわ)” の例文
文化年間、露西亜ロシアがエトロフに入り、北辺をさわがした。泉石はその刺戟を受け、二十歳前後の頃、北海道樺太カラフト沿海州の地図を写している。
列仙れっせんの集まる蟠桃会はんとうえさわがし、その罰として閉じ込められた八卦炉はっけろをも打破って飛出すや、天上界も狭しとばかり荒れ狂うた。
年代にすると、黒船が浦賀うらがの港をさわがせた嘉永かえいの末年にでも当りますか——その母親の弟になる、茂作もさくと云う八ツばかりの男の子が、重い痲疹はしかかかりました。
黒衣聖母 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
柳町やなぎまちくるわにいたのは、まだ三十を越えていない、あから顔にひげの生えた、浪人だと云うではありませんか? 歌舞伎かぶきの小屋をさわがしたと云う、腰の曲った紅毛人こうもうじん妙国寺みょうこくじ財宝ざいほうかすめたと云う
報恩記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)