ゆさ)” の例文
旧字:
まだらな雪、枯枝をゆさぶる風、手水鉢ちょうずばちざす氷、いずれも例年の面影おもかげを規則正しく自分の眼に映した後、消えては去り消えては去った。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
貰う方としても、ちゃんと現主婦が達者で働いている所へ、言わばその王座をゆさぶる者がくるのだから、めでたいとは言いじょう、一方には不安でないこともない。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
きょうはまるで朝から日射しものぞかせない灰色の冬空がますます低くおりてきて、ふきあげるひどいらッ風が、腰かけている赤肌の松の巨木をユサユサとゆさぶった。
冬枯れ (新字新仮名) / 徳永直(著)
今能く寝付いて居るし、遊んでおいでな、ゆさぶっても病気疲れで能く寝て居るから、こゝで何を云っても旦那に聞える気遣きづかいは無し、他に誰も居ないから、真に差向いで話しするがね
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)