接目つぎめ)” の例文
だが我々はもっとうまくやりましたよ、——邸じゅうのあらゆる椅子の桟、それから実際あらゆる種類の家具の接目つぎめを、非常に強度の拡大鏡を使って調べたんです。
今まで、速射砲のように、躰に響いていた、レール接目つぎめ遊隙ゆうげきの音も、次第に間伸まのびがして来た。
鉄路 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
其三角のふちに当る赤錬瓦とくろい屋根の接目つぎめの所がほそい石の直線で出来てゐる。さうして其石の色が少し蒼味あをみを帯びて、すぐしたにくる派出な赤錬瓦に一種の趣を添へてゐる。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
瀝青チャンが板の接目つぎめで泡立っていた。その場所に漂う気持の悪い悪臭が私の胸を悪くさせた。もし熱病や赤痢を嗅げる処があるとするなら、あの厭な碇泊所こそ正にそれであった。
紫色がぜて雪白の光茫こうぼうを生んでいるものもある。私は星に一々こんな意味深い色のあることを始めて見た。美しい以上のものを感じて、脊椎骨せきついこつ接目つぎめ接目つぎめに寒気がするほどである。
河明り (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
接目つぎめが合って、がっしりと、天に聳えている。
自分はいきなり拳骨げんこつを固めて自分の頭をいやと云うほどなぐった。そうして奥歯をぎりぎりとんだ。両腋りょうわきから汗が出る。背中が棒のようになった。ひざ接目つぎめが急に痛くなった。
夢十夜 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)