トップ
>
捲毛
>
まきげ
ふりがな文庫
“
捲毛
(
まきげ
)” の例文
病身なのであろうか。なぜなら顔のはだは、わくをなしている
捲毛
(
まきげ
)
の金いろの黒味と、ぞうげのように白くうつり合っているから。
ヴェニスに死す
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
かがやく金髪の
捲毛
(
まきげ
)
とを持っていた——その頭が中空にさまよっていた、かの虫のように彼女を一心に見詰めているのを知った。
世界怪談名作集:08 ラッパチーニの娘 アウペパンの作から
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
肌
(
はだ
)
は白魚のように
透
(
す
)
きとおり、
黒瞳
(
こくとう
)
は夢見るように大きく見開かれ、額にかかる
捲毛
(
まきげ
)
は
鳩
(
はと
)
の胸毛のように柔らかであった。
悟浄出世
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
小さな手をおとなしく前に重ねて、
捲毛
(
まきげ
)
を後に搖りやつて、眼を
天井
(
てんじやう
)
の方にあげ、何か歌劇の中の歌を唄ひはじめた。それは棄てられた女の歌だつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
櫛の歯をハーモニカのように口にこすって、
唾
(
つば
)
をつけると、母は私の額の上の
捲毛
(
まきげ
)
をなでつけて云った。
風琴と魚の町
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
▼ もっと見る
夢みがちな
二十歳
(
はたち
)
前後の若者が芝居の帰り道に、スペインの街や夜や、額に
捲毛
(
まきげ
)
をたらしてギターをかかえた素晴らしい女の姿などを胸に描きながら歩いている時
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
捲毛
(
まきげ
)
のカナリヤの
籠
(
かご
)
の側で、庸三はよく
籐椅子
(
とういす
)
に腰かけながら、あまり好きでないこの
小禽
(
ことり
)
の動作を見守っていたものだが、いくらかの潜在的な予感もあったので
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
けれどこの時ほど父の姿がわたしに、すらりと
格好
(
かっこう
)
よく見えたこともなかったし、その灰色の帽子が、こころもち薄くなりかけた
捲毛
(
まきげ
)
の上に、すっきり合って見えたこともなかった。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
女どもは、彼の額にある
捲毛
(
まきげ
)
で、それが牡牛だということを見分ける。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
とまり木の
捲毛
(
まきげ
)
カナリヤ聲搖らず冬をこごえて眼はあけてをり
白南風
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
濃い頭の
捲毛
(
まきげ
)
だけが兄弟似寄つてゐた。
過去世
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
ひたすらに愛する者の
捲毛
(
まきげ
)
にすがれ。
ルバイヤート
(新字新仮名)
/
オマル・ハイヤーム
(著)
「可愛いゝお孃さん! 長い
捲毛
(
まきげ
)
、青い眼、顏の
色艷
(
いろつや
)
のいゝこと、まるで
描
(
か
)
いたやうだわ。ベシーさん。あたしは、夕飯にはウェルス・ラビットを食べたいわね。」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
蒼白
(
そうはく
)
で、上品に表情のとざされた顔、蜜いろの
捲毛
(
まきげ
)
にとりまかれた顔、まっすぐにとおった鼻とかわいい口をもった顔、やさしい神々しいまじめさを浮かべている顔——かれの顔は
ヴェニスに死す
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
とまり木の
捲毛
(
まきげ
)
カナリヤ声揺らず冬をこごえて眼はあけてをり
白南風
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
兩方の
顳顬
(
こめかみ
)
には、暗い
褐色
(
かつしよく
)
の髮がその時の流行のやうに、——當時は撫でつけて捲いたのや、長い
捲毛
(
まきげ
)
は流行してゐなかつた——丸みをつけた捲毛で
房
(
ふさ
)
になつてゐた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
捲
漢検準1級
部首:⼿
11画
毛
常用漢字
小2
部首:⽑
4画
“捲毛”で始まる語句
捲毛駿