捏鉢こねばち)” の例文
大甕おおがめ、酒甕、捏鉢こねばち徳利とっくり花立はなたてつぼ、これが広っぱに山のように積んである。博多はかたあたりの町を歩いて必ず荒物屋にあるのは、皆ここから供給される。
北九州の窯 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
このほかこの窯では徳利とっくり雲助うんすけも作り、大ものでは甕類、井戸側、焼酎甕しょうちゅうがめ捏鉢こねばち等も作るそうです。
多々良の雑器 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
後者は昔から色々のよい雑器を焼いた窯でありまして、今も伝統が残ります。美しい櫛描の捏鉢こねばちを作った肥前の庭木は全くすたれましたが、弓野はわずかにけむりをあげます。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
俗に紺色は蛇がけるからといいます。戸隠山とがくしやまの篠竹細工も数え挙げねばなりません。手提籠てさげかごによい考案のを見かけます。また信州は山国のこととて大きな捏鉢こねばちも作ります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
捏鉢こねばち。陶器。模様は松。白絵刷毛目はけめ。はなはだ大きく直径一尺七寸五分、深さ五寸八分、高台の直径四寸八分。産地福岡県三池郡二川ふたかわ村。明治初年期。日本民藝美術館蔵。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
今日作るものと焼き始めた頃のものと、さしたる相違はないと思える。それほど作るものは時代離れがしている。湯通し、蓋附土鍋ふたつきどなべ蓋無ふたなし土鍋、捏鉢こねばち水甕みずがめいずれも特色がある。
現在の日本民窯 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
だが石見のこれらの窯では赤瓦のみではない、大甕おおがめを焼き、捏鉢こねばち、すり鉢、べに鉢、片口かたくち、壺類を焼く。厖大ぼうだいな窯であるからそれも多量に焼く。なかんずく来待石きまちいしを使った赤褐色の大甕が多い。
雲石紀行 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
径二、三尺にもおよぶ大きな捏鉢こねばちだとか、非常に立派な箕だとか、手の込んだ蓑だとか、形の面白い編笠だとか、または紺の麻布に染模様のある馬の腹掛はらがけだとか、それは様々なものの陳列を見ます。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
出来るものは平茶加ひらちょか、山茶加、伊勢(擂鉢すりばち)、素麪鉢そうめんばち、盆釜、半胴はんどう、徳利、肴鉢さかなばち捏鉢こねばち蕎麦掻そばかき等々々様々である。それを大中小と色々に造る。形は昔を守ってくずさない。どこの国のとも甚だ違う。
苗代川の黒物 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)