押頂おしいただ)” の例文
お坊さんは、壇の上の独鈷とっこをとって押頂おしいただき、長い線香を一本たて、捻香ねんこうをねんじ、五種の抹香を長いのついた、真ちゅうの香炉こうろにくやらす。
宗俊は、金無垢の煙管をうけとると、恭しく押頂おしいただいて、そこそこ、また西王母のふすまの向うへ、ひき下った。すると、ひき下る拍子に、うしろから袖を引いたものがある。
煙管 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
夫婦は押頂おしいただいて帰つて来た。その日はゆふ方から雨が強くなつて、とき/″\にらいの音がきこえた。
採って前髪まえがみ押頂おしいただいた時、私のつむりでながら、あまりうれしさ、娘ははらはらと落涙らくるいして、もう死ぬまで、この心を忘れてはなりませんと、私のつむりさせようとしましたけれども
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
(皆いたいけに押頂おしいただく。)
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)