折重おりかさな)” の例文
半身裸体のままの者まで入って来て、折重おりかさなった女の子の間に割込み、やすいの、高いのと、わいわい言っている最中さいちゅうである。
勲章 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
(立野さん。貴下あなたは革鞄の全形と折重おりかさなって、その容量を外れない範囲内にお立ち下さい。縫子が私の妻として、婚礼の日の途中、汽車の中で。)
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
巡査はたいかわして其利腕そのききうでを掴んだが、降積ふりつむ雪に靴を滑らせて、二人は折重おりかさなって倒れた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
の場へ叩きつけた。——とたんに刑事たちが折重おりかさなって手錠を掛けてしまった。
海浜荘の殺人 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
あ、あ、あ、あの池の向うの、おおきな松の幹を、結綿ゆいわたの娘と、折重おりかさなって、かすり単衣ひとえの少年が這っている。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
二度も三度も折重おりかさなって、り落ちて、しまいには、私がどしんと尻餅をくと、お優さんは肩にすがった手をえたように解いて、色っぽくはだけたつまと、男の空脛からすねが二本、少し離れて
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)