折戸おりど)” の例文
弱虫のくせに四つ目垣を乗りこえて、栗をぬすみにくる。ある日の夕方折戸おりどかげかくれて、とうとう勘太郎をつらまえてやった。その時勘太郎はみちを失って、一生懸命いっしょうけんめいに飛びかかってきた。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
三月からわずらって居ります所へ、新三郎は折戸おりどの所へ参り、そっとうちの様子をのぞき込みますと、うちでは嬢様は新三郎の事ばかり思い続けて、たれを見ましても新三郎のように見える処へ
趣が変って三保の松原という段取りになったので……それで鶴屋へ送り込むようにおっしゃったあの乗物を、途中から七兵衛が行って折戸おりどの方へ曲げて、三保の松原へ連れ込んだところなので。
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
折戸おりどを入ると、そんなに広いと言うではないが、谷間の一軒家と言った形で、三方が高台の森、林に包まれた、ゆっくりした荒れた庭で、むこうに座敷の、えんが涼しく、油蝉あぶらぜみの中に閑寂しずかに見えた。
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
新「まアおはいりなさい、其処そこ折戸おりどのところを明けて」
折戸おりどを開けて
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)