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扼
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とりしば
ふりがな文庫
“
扼
(
とりしば
)” の例文
渠
(
かれ
)
ら、お沢を
押取
(
おっとり
)
込めて、そのなせる事、神職の
言
(
げん
)
の如し。両手を
扼
(
とりしば
)
り、腰を押して、
真
(
ま
)
正面に、
看客
(
かんかく
)
にその姿を露呈す。——
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
佐世保の湾頭には「今度この節国のため、遠く離れて
出
(
い
)
でて行く」の離歌に
腸
(
はらわた
)
を断ち、宣戦の大詔に腕を
扼
(
とりしば
)
り、威海衛の砲撃に初めて火の洗礼を授けられ
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
得三はかねてかくあらんと用意したる、弓の
折
(
おれ
)
を振上ぐれば老婆はお藤の手を
扼
(
とりしば
)
りぬ。はっしと
撲
(
う
)
たれて悲鳴を上げ
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「や、や、
狼藉
(
ろうぜき
)
。」と驚きたまう老婦人の両の
御手
(
おんて
)
を左右より
扼
(
とりしば
)
りて勿体無くも引下ろせば、一人は
背後
(
うしろ
)
より
抱竦
(
だきすく
)
め、他は塩ッ辛き手拭を口に
捻込
(
ねじこ
)
み
猿轡
(
さるぐつわ
)
。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ちょっ、面倒だ。」と
衝
(
つ
)
と寄りて、門番の両手を
扼
(
とりしば
)
るは、昔関口流皆伝の
柔術家
(
やわらとり
)
、今零落して屠犬児、
弥陀平
(
みだへい
)
というは世を忍ぶ仮の名にて、本名あるべき
親仁
(
おやじ
)
なり。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
といまは
苛
(
いら
)
てる
状
(
さま
)
にて、はたとばかり
掻退
(
かいの
)
けたる、雪は
辷
(
すべ
)
り落ちて、三ツ四ツに砕けたるを、少年のあなやと
拾
(
ひろ
)
ひて、拳を固めて掴むと見えし、血の色颯と頬を染めて、
右手
(
めて
)
に貴女の手を
扼
(
とりしば
)
り
紫陽花
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
扼
漢検1級
部首:⼿
7画
“扼”を含む語句
切歯扼腕
扼殺
扼腕
制扼
扼死
禁扼
絞扼死
要扼