たた)” の例文
皆気が利かないから私でも居なければ、暖まらない時に湯タンポを入れたり、夜着の肩をたたいてあげるのは一人も居ないんですものねえ。
農村 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
そして又太鼓をたたいて踊り始めたのです。けれども馬鹿七は、さつさと山へ上つて行きました。そして土を掘つて叮嚀ていねいに、その杉苗を植ゑました。
馬鹿七 (新字旧仮名) / 沖野岩三郎(著)
明徳利あきどくりの横面いきなりたたき飛ばせば、砕片かけらは散って皿小鉢おどり出すやちんからり。
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
百のしもどをたたかれて
枯草 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
かん誘員(小僧からたたきあげ、十七八で帳つけとなり、外へ出て勧誘員となるときには、まるで成年のような風をする)
で、多勢はお宮の境内で、太鼓をたたいて歌ひながら、雨乞踊あまごひをどりをいたしました。智慧蔵は馬鹿な踊をするやつらだと言ひながら、その雨乞踊を見に行きました。
馬鹿七 (新字旧仮名) / 沖野岩三郎(著)
足に止まった蚊を無作法な音をたててたたいたりしながら云い訳に苦しんで居る橋本の金の事を考えて居た。
お久美さんと其の周囲 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
「しめたぞ! 狸さん、早くその太鼓をたたいて、聞かせておれ!」と云つて、ニコニコ笑ひながら、竹の杖にすがつて伸び上つて見ますと、森の中一面に、大きな古狸が
馬鹿七 (新字旧仮名) / 沖野岩三郎(著)