手鎖てぐさり)” の例文
これは寛政かんせい御改革のみぎり山東庵京伝さんとうあんきょうでん黄表紙御法度きびょうしごはっと御触おふれを破ったため五十日の手鎖てぐさり、版元蔦屋つたや身代半減しんだいはんげんという憂目うきめを見た事なぞ
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
また彼らの好きな袖の下をたんまり握らせ、そのあいだ囚人めしゅうどの雷横を、そっと裏の雑木林へつれて行き、手鎖てぐさりを解き首枷くびかせはずしてやった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
栄二は手鎖てぐさりの音をさせながら蚊を追った。そこは大川に面した長屋の空き部屋で、二人はもう十余日もいっしょに、その部屋へ押籠おしこめられていた。
さぶ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
過ち火を出しても手鎖てぐさり五十日、地主、家主、月番行事、五人組から、風上二丁、風脇二丁の月行事まで、三十日乃至二十日の押込めといふ峻烈ぶりでした。
過ち火を出しても手鎖てぐさり五十日、地主、家主、月番行事、五人組から、風上かざかみ二丁、風脇かざわき二丁の月行事まで、三十日乃至ないし二十日の押込めという峻烈しゅんれつぶりでした。
寛政のむかし山東庵京伝さんとうあんきょうでん洒落本しゃれぼんをかきて手鎖てぐさりはめられしは、板元はんもと蔦屋重三郎つたやじゅうざぶろうふれにかまはず利を得んとて京伝にすすめて筆を執らしめしがためなりといひ伝ふ。
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)