手肢てあし)” の例文
この雪に、こごえた手肢てあしをして、太刀を持つよりは、少しぐらいの酒ならば、体にれたほうが、かえってよかろうと考える者のほうが多かった。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
肩付きのたくましさはかんぬきのよう、十分弾力を秘めたらしいひき締った手肢てあし、身長、肉付き、均斉きんせいといい理想的ヘルメス型の、この男には男惚れさえしよう。
人外魔境:05 水棲人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
すらりとしながら引き締まって均整のれた手肢てあし……恰好かっこうのいい胸のたかまり! 私に見せた笑い顔がまだ眼前に散らついて、私はあえいで胸で息をしたいような気になりました。
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
その細骨のキリリとした手肢てあしも、豊かな胸も、すんなりした首も、張り切った眼も、紅い唇も、女盛りの妖艶さを撒き散らすようで、臆面のない八五郎も、何となく近づき兼ねました。
お前は守宮だといったが、これはこのへんの堀にいる赤腹あかはらだ。守宮なら無花果いちじくの葉のような手肢てあしをしているが、これにはちゃんと指趾ゆびがある。ここに釘づけになっているのは守宮でなくて蠑螈いもりだ。
顎十郎捕物帳:24 蠑螈 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
そして、手肢てあしをバタバタさせている唖の怪物を、邪慳じゃけんにも、かたわらの叢の中にほうり出した。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)