懐胎かいたい)” の例文
旧字:懷胎
ねんではまだわからないというので、さらに二ねんほどつことになりましたが、しかしそれがぎても、矢張やは懐胎かいたい気配けはいもないので、とうとう実家じっかでは我慢がまんがしれず
彼もさすがに憂慮のていにて、今暫く発表を見合みあわしくれよ、今郷里の両親に御身おんみ懐胎かいたいの事を報ぜんには、両親とても直ちに結婚発表を迫らるべし、発表は容易なれども、自分の位地として
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
だから疵物きずものでもずん/\片づいて行く。尤も疵物は大抵貧しい者にやられる。潔癖は贅沢だ。貧しい者は、其様な素生調すじょうしらべに頓着しては居られぬ。金の二三十両もつければ、懐胎かいたいの女でももらう。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
心理状態も互いに顔色でもうわかってる。妻は八人目を懐胎かいたいしたのだ。
去年 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
妾はなお昔の如く相親しみ相睦あいむつみ合いしに、ある日重井よりの書翰しょかんあり、読みもて行くに更に何事なにごととも解し得ざりしこそ道理なれ、富子は何日いつ懐胎かいたいしてある病院に入院し子を分娩したるなり。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)