意次おきつぐ)” の例文
正に是れ光格天皇御即位の年、江戸の将軍徳川家治の在職十九年、田沼意次おきつぐ父子君寵をたのんで威権赫灼かくしやくたる時となす。
頼襄を論ず (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
賄賂というとよく寛政年度の田沼意次おきつぐが例に出されるが、うところの田沼時代でも、そんな時代を作った罪の一半は、意次の幕閣をめぐる猟官連中だの
美しい日本の歴史 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もっともこれよりさき有名な八代〔徳川〕吉宗よしむね将軍の時からして、すでに蘭学の禁も開放され、田沼たぬま意次おきつぐ〕執政の時代には西洋の事物がかなり日本の識者にも知れ渡っていた。
ああ大事なことを忘れた。余はいま「田沼意次おきつぐ」のプランに取りかかっている。大部な作になる、今度はどうやら掴めそうである。参考書が一冊不足で、石井から借りねばならぬ。
ために将軍家敬し憚り「西丸のじいや」と称して名を呼ばず、安永八年七月二十五日、六十七歳をもって世を終るまで、さすがの田沼意次おきつぐさえ、驥足きそくを延ばすことが出来なかったところの
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
しかりといえども天明年間における田沼意次おきつぐの執政に際しては、幕綱ばっこうちゅうを解き、官紀かんきみだれ、濁政だくせい民を悩ます。加うるに浅間岳の大噴火、諸国大風雨、大飢饉ききんを以てし、庶民生をやすんぜず。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)