悪業あくごふ)” の例文
旧字:惡業
君かくまで魔界まかい悪業あくごふにつながれて、一二六仏土ぶつどに億万里を隔て給へば、ふたたびいはじとて、只もくしてむかひ居たりける。
もし白昼にまなこを正しく開くならば、その日天子の黄金の征欠そやたれるぢゃ。それほどまでに我等は悪業あくごふの身ぢゃ。又人及諸の強鳥を恐る。な。
二十六夜 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
さういふところを通りぬけ、玉川に掛つてゐる無明むみやうの橋を渡つて、奥の院にまゐり、先祖代々の霊のために、さかんに燃える護摩ごまの火に一燈を献じた。これは自身の諸悪業あくごふをたやすためでもある。
仏法僧鳥 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
年頃としごろ此辺にて殺生関白が辻切を物し侍るよし聞及びし、必定是なるべしと思ひつゝ、かく盲目と成さへに、如何いかなる悪業あくごふにせめられて、此身と成ぬるよとかなしく存候に、如何してながらふべき
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
悪業あくごふをはりたる
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
今このご文は、この大菩薩が、悪業あくごふのわれらをあはれみて、救護の道をば説かしゃれた。その始めの方ぢゃ。しばらく休んで次の講座で述べるといたす。
二十六夜 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
あるじの憎いふ。師はまことに仏なり。かく浅ましき悪業あくごふとみにわするべきことわりを教へ給へ。禅師いふ。
かくごときのもろもろ悪業あくごふ、挙げて数ふるなし。悪業を以ての故に、更に又諸の悪業を作る。継起してつひをはることなし。昼は則ち日光をおそれ又人および諸の強鳥を恐る。
二十六夜 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
おのれ善をなして、おのれそのむくひの来るを待つはなほきこころにもあらずかし。又悪業あくごふ慳貪けんどんの人のさかふるのみかは、寿いのちめでたくそのをはりをよくするは、一〇四我にことなることわりあり。