悄乎しょんぼり)” の例文
黄昏たそがれに三人で、時雨しぐれの松の見霽みはらしへ出掛けるのを、縁の柱で、悄乎しょんぼりと、藤棚越に伸上のびあがって見ていると、二人に連れられて、私の行くのが、山ではなしに、干潟を沖へ出て
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
紅蓮こうれん一茎ひとえだ白蓮華びゃくれんげの咲いた枯田かれたのへりに、何の草か、幻の露の秋草のあぜを前にして、崖の大巌おおいわに抱かれたように、巌窟いわむろこもったように、悄乎しょんぼりと一人、淡くたたずんだおんなを見ました。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
まことは——吹矢ふきやも、ばけものと名のついたので、幽霊の廂合ひあわいの幕からさかさまにぶら下り、見越入道みこしにゅうどうあつらへた穴からヌツと出る。雪女はこしらへの黒塀くろべいうっすり立ち、産女鳥うぶめどり石地蔵いしじぞうと並んで悄乎しょんぼりたたずむ。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)