恐喝きょうかつ)” の例文
恐喝きょうかつ、……それに、わが党政府の選挙干渉、……こげんガラクタのごたる候補者ばっかりが出て、全部あがるといやあ、それしか考えられん。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
のわしには、はじめは忠臣の苦肉の策だ等と言いくるめようとして、見破られると今度は居直って、無礼千万の恐喝きょうかつめいた悪口雑言をわめき立てる。
新ハムレット (新字新仮名) / 太宰治(著)
王給諌はひどく喜んで、その秘密の手紙を種に王侍御を恐喝きょうかつして金を取るつもりで、先ず王侍御と仲の善い者にその手紙を持っていかして一万の金を仮らした。
小翠 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
父の仕事はしかし、相も変らぬ与太よた仕事で、何でもたちのわるい恐喝きょうかつ新聞の記者であるらしかった。
それだけでなく、それだけで済めばいいが、事によると、恐喝きょうかつ取財ぐらいで告訴するだろう。これらについても自分としては何とか考えをまとめて置かなければならない。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
老媼は甚だしき迷信じゃなれば乞食僧の恐喝きょうかつまこととするにぞ、生命いのちに関わる大事と思いて
妖僧記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
雨後うごたけのこに似て立ち並び始めたバラック飲食店の場銭ばせんと、強請ゆすりとで酒と小遣こづかいに不自由しなかった習慣は一朝いっちょうにして脱することが出来ず、飲食店の閉鎖、恐喝きょうかつ行為の強力な取締りと
刺青 (新字新仮名) / 富田常雄(著)
ひとりは殺人請負会社の専務、ひとりはこの世の裏を捜しまわって恐喝きょうかつを常習とする影男、ひとりは地底にパノラマ王国を築いてそれを営業とする怪人物、ぼくは一石にして巨大な三鳥を得た。
影男 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
同情のある恐喝きょうかつ手段は長者ちょうしゃの好んで年少に対して用いる遊戯である。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
君かもないものだ、御林の旧友を、恐喝きょうかつするやつがあるものか。
人間山水図巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わしを切るのかと思ったら、くるりと切先きっさきをかえて自分自身の頬に傷をつけ居った。自殺の稽古けいこか、新型の恐喝きょうかつか。オフィリヤの事なら、心配せんでもよいのに、馬鹿な奴だ。
新ハムレット (新字新仮名) / 太宰治(著)
「そろそろ、あんな手紙が気になって来たらしいね。僕は、君がお金持になったら、あの手紙を君のところへ持って行って恐喝きょうかつしようと思っていた。ひどい手紙だぜ。ウソばっかり書いていた。」
(新字新仮名) / 太宰治(著)