心許こゝろもと)” の例文
練吉が男の子を一人抱へていつまでも独身では心許こゝろもとなかつた。だが、手を焼いてゐる。そのうち、練吉は自分の気に入つた女を見つけた。
医師高間房一氏 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
果して然らばアヌンチヤタは我感情を愛して我意志を嫌ひしにやあらん。あらず、わが意志の闕乏けつばうを嫌ひしにやあらん、いと覺束おぼつかなく心許こゝろもとなき事にこそ。
若し平山を留め置いたら、陰謀者が露顕を悟つて、急に事を挙げはすまいかとおそれ、さりとて平山を手放して此土地に置くのも心許こゝろもとないと思つたのである。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「よう、素晴しい部屋だなあ。おまけに姐さん達が別嬪と來てるから、お城のねきの高等御下宿とは比較にならんぞ。三田公の月給では、月末が心許こゝろもとないなあ。」
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
(おみちびきで來合きあはせたくすりはいでは、病人びやうにん心許こゝろもとない。おいたゞきなされぬと、後悔こうくわいをされうが。)
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
(頼家はつ。五郎も起つ。桂もつゞいて起つ。楓は姉の袂をひかへて、心許こゝろもとなげに囁く。)
修禅寺物語 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
されど又姫にそを問ふ機會あるべきか、心許こゝろもとなし。