御所望ごしょもう)” の例文
何か御前また御所望ごしょもうもござりましょうから、なんなりお好みにお任せ申すとして、其の辺は取極めぬ方がお宜しゅうござりましょう
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
戸灘瀬となせの滝まで行って引き返し、田鶴子さんの御所望ごしょもうに従って小督こごうの塚というのに寄った。容姿を全幅とするものには死は絶対に万事の終焉おわりと見える。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
いつぞや御所望ごしょもうになった道具、幸い、この山の中でぶらぶら遊んでいる間に、この通り手に入れた。
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ゆきもどりつして躊躇ためらっていらっしゃるうちに遂々とうとう奥方にと御所望ごしょもうなさったんだそうです。
忘れ形見 (新字新仮名) / 若松賤子(著)
この思いがけない御所望ごしょもうを耳にした余は少からず驚いた。けれども自分でさえ聞かずにすめば、聞かずにいたいような不愉快な声を出して、殿下に御話などをする勇気はとても出なかった。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「と仰っしゃいますと、外に何ぞ御所望ごしょもうの品がおありでしょうか」
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
夜叉王 って御所望ごしょもうとござりますれば……。
修禅寺物語 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「私のは功名談なんて景気の好いものじゃありません。懺悔話ざんげばなしですから、御所望ごしょもうされると困ります」
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
と踊りの御所望ごしょもうがございましたから、女中達は俄に浮き立ちまして、それ/″\の支度をいたし、さア島路さん、早くとき立てられて、島路は迷惑ながら一旦其の席を引退ひきさがりまして
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
御所望ごしょもう致す、そのお手槍てやりをお貸し下されますまいか」
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
奥「日々にち/\御繁務ごはんむさぞお気疲れ遊ばしましょう、御欝散ごうっさんのため御酒でも召上り、先頃召抱えました島路しまじと申す腰元は踊が上手とのことでございますから、お慰みに御所望ごしょもう遊ばしては如何いかゞでございます」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「おしるこですか? おしることは又妙な御所望ごしょもうですな」
閣下 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)