御両方おふたかた)” の例文
旧字:御兩方
御両方おふたかた無言にて頷きたまえば、再び矢島にみちびかれ、門を出でて三拝せしが、見送る人眼のあらずなれば、ニヤニヤと笑うて、ペロリと舌。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
わたくし幾度いくたび竜宮界りゅうぐうかいまいり、そして幾度いくたび御両方おふたかたにおにかかってりますので、幾分いくぶんそのへん事情じじょうにはつうじてるつもりでございます。
御両方おふたかたとも黄泉こうせんの客となられた場合、私がこのはなしをしたとて、さしてつかえもないことかと思うばかりでなく、かえってこのはなしは、刀自の素性について世間の噂が全く間違って
何分なにぶんにも竜宮界りゅうぐうかいことはあまりにもおくふかく、わたくしにもまだ御両方おふたかた関係かんけいがよくわかってりませぬ。
むつまじやかなる談話はなしの花を、心無くも吹散らす、疾風一陣障子を開けて、お丹例のごとく帯もしめず、今起き出でたる風情にて、乱れ姿に広袖どてら引懸ひっかけ、不作法に入来いりきたりて、御両方おふたかたの身近に寄り
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)