後馳おくれば)” の例文
後馳おくればせに追続ける腰元の、一目見るより色を変えて、横様にしつかと抱く。其の膝に倒れかゝりつ、片手をひしと胸にあてて。
紫陽花 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
さてかはつたやうあがつて、ひるになると、さむさがみて、市中しちう五萬軒ごまんげん後馳おくればせのぶんも、やゝ冬構ふゆがまへなしつる。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
後馳おくればせにつかつかと小走こばしりに入りましたのが、やっぱりお供のうちだったと見えまする、あのお米で。
政談十二社 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
瞳も離さないで視めたお妙が、後馳おくればせに会釈して
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
後馳おくればせに散策子はたもとへ手を突込つきこんで
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)