トップ
>
彼岸桜
>
ひがんざくら
ふりがな文庫
“
彼岸桜
(
ひがんざくら
)” の例文
都の杉並木の間には、もう
彼岸桜
(
ひがんざくら
)
の白っぽい花の影が、雪みたいに見える。春を
揺
(
ゆ
)
らぐ洛内の寺院の鐘は、一日一日、
物憂
(
ものう
)
げに曇っていた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
惜し気もなく散る
彼岸桜
(
ひがんざくら
)
を誘うて、
颯
(
さっ
)
と吹き込む風に驚ろいて眼を
覚
(
さ
)
ますと、
朧月
(
おぼろづき
)
さえいつの
間
(
ま
)
に差してか、
竈
(
へっつい
)
の影は斜めに
揚板
(
あげいた
)
の上にかかる。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
枝垂柳
(
しだれやなぎ
)
もほんのり青みが見えるようになった。
彼岸桜
(
ひがんざくら
)
の咲くとか咲かぬという事が話の問題になる頃は、都でも
田舎
(
いなか
)
でも、人の心の最も浮き立つ季節である。
春の潮
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
二人をおおうている
彼岸桜
(
ひがんざくら
)
が、陽に
蒸
(
む
)
されて今にも崩れそうに見えた。ふとお菊は不安そうに訊いた。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
別れを告げて行こうとする神戸の町々には、もう
彼岸桜
(
ひがんざくら
)
の春が来ていた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
我からと
惜気
(
おしげ
)
もなく咲いた
彼岸桜
(
ひがんざくら
)
に、いよいよ春が来たなと浮かれ出したのもわずか
二三日
(
にさんち
)
の間である。今では桜自身さえ
早待
(
はやま
)
ったと後悔しているだろう。
琴のそら音
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
床に掛けた
花開
(
はなひらく
)
万国春
(
ばんこくのはる
)
とある
木菴
(
もくあん
)
の
贋物
(
にせもの
)
や、京製の
安青磁
(
やすせいじ
)
に
活
(
い
)
けた
彼岸桜
(
ひがんざくら
)
などを一々順番に点検したあとで、ふと下女の勧めた布団の上を見るといつの
間
(
ま
)
にか一
疋
(
ぴき
)
の猫がすまして坐っている。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“彼岸桜”の意味
《名詞》
バラ科に属する落葉小高木。春の彼岸の頃に葉よりも先に花が咲く。
(出典:Wiktionary)
彼
常用漢字
中学
部首:⼻
8画
岸
常用漢字
小3
部首:⼭
8画
桜
常用漢字
小5
部首:⽊
10画
“彼岸”で始まる語句
彼岸
彼岸所
彼岸過迄
彼岸会
彼岸前
彼岸會
彼岸花
彼岸詣
彼岸浄土