彫付ほりつ)” の例文
それを藤原喜代之助ふじわらきよのすけが見兼て母に詫入わびいれ、母は手ずから文治の左の腕に母という字を彫付ほりつけ、「以来は其の身を母の身体と思って大切にいたせよ」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
今も申す通り、我々には字だか絵だか符号だか実際判然しないのですけれども、うも文字もじらしく思われるのです。勿論もちろん、刃物のさき彫付ほりつけたもので、何十行という長いものです。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
是から出船宿へ参るには、太田屋と申します宿屋の向横町むこうよこちょう真直まっすぐに這入りますと、突当りに香取かとり神社の鳥居がありまして、わき青面金剛せいめんこんごう彫付ほりつけたおおきな石塚が建って居ります。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
巡査のかざす松明はかたえ石壁せきへき鮮明あざやかてらした。壁は元来が比較的にひらたい所を、更に人間の手にってなめらかに磨かれたらしい。おもてには何さま数十行の文字もんじらしいものが彫付ほりつけてあった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)