強薬ごうやく)” の例文
よほど火力のある強薬ごうやくで遠方から撃ったものだという証拠は、たまうなりと音響のあいだに、息を二つ吸うほどな時間があったのでも分った。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
強薬ごうやくの加減だの湿り弾なども交じっているせいである。二十幾挺かの銃身中に、不発だったのも五、六挺はあった。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
雷火らいか炸裂さくれつは、詭計きけいでもなんでもない。怪人かいじん呂宋兵衛るそんべえが、ふところにめておいた一かい強薬ごうやくを、祭壇さいだんに燃えのこっていたろうそくへ投げつけたのだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そうして不意ふいにとりでの郭内くるわないにあらわれ、岩くだきの強薬ごうやく爆発ばくはつさせて、とりでにるすいをしているやつらがあわてさわぐまに、小太郎山こたろうざんを乗っとってしまう! むろん
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
次の弾をこめて、火縄の火を強薬ごうやくへ点じている間などなかったので、敵の三名は狼狽を極め
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いや、その辺は分りかねる。しかし、今日なお渭山いざんの城にたくわえある、武器、船具、たて強薬ごうやくやじり、金銀の軍用は、みな当時、天草より持ち込んだ物や、義伝公の御用意であったことはたしかでござる」
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)