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引居
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ひきすゑ
誰も爲る
者有るまじと思ひ
頻に
悲しく心は後へ
引れながら既に
奉行所へ來り
白洲へ
引居られたり此日伊勢屋三郎兵衞方にては彼旅僧を
斯て杉戸屋富右衞門は
繩目の
儘にて郡代屋敷の
白洲へ
引居られ伊奈半左衞門殿は
吟味に及ばれんと
其席へ立出られ
先何成奴ならんと見らるゝ所に
面體は
柔和にして
篤實らしく見る成れども人は面體に
寄らずと思ひコリヤ幸手宿杉戸屋富右衞門
其方年は
何歳成るやと
尋問られるに富右衞門は
當年五十三歳なりと
答ふ伊奈殿其方は