廿にじゅう)” の例文
また廿にじゅう六歳位だった同行の菊五郎は、日常ひごろの茶目もなく、はじめて学者の世界を覗くので、とても神妙な態度だった。
古い暦:私と坪内先生 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
かの二谷を呑んだ峯の上を、見るも大なる炬火きょか廿にじゅうばかり、烈々としてつらなり行くを仰いで、おなじ大暴風雨に処する村人の一行と知りながら、かかればこそ
遺稿:02 遺稿 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
机龍之介の性格描写は、前古未曾有といっていい、筋の通った登場人物が、廿にじゅう人ぐらいはあるだろうが、それぞれクッキリと描き分けた手際は、まさに巨匠といっていい。
大衆物寸観 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
青春空しく逝くを悲しむ。私の廿にじゅう代はこうした苦い空白のうちに過ぎて行ってしまうのでしょうか。しかしお母さん、私が生活に負けていたずらに意気沮喪いきそそうしているとは思わないで下さい。
聖アンデルセン (新字新仮名) / 小山清(著)
昭和十四年からおよそ五十二年程前の明治廿にじゅう年頃に民間の一書生であった私は、時々な、ほとんど不断に東京大学理科大学、すなわち今の東京帝国大学理学部の植物学教室へ通っていた。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
一千九百廿にじゅう五年五月五日 晴
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)