廉々かどかど)” の例文
余は早く合点の行かぬ廉々かどかどから聞き度いと思い「全体貴女が、何うして彼の書斎で消えて了ったか、其が今以て大疑問と為って居ますが」
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
「いや、そればかりではござりませぬ。玉藻という女性にょしょうに就いては落意しがたき廉々かどかどがあるとか申されまして……」
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
帰ってからその文句の廉々かどかどそらんずるにつけて罪恐ろしく、よせばよかったと思っても見、首尾よく行けばいゝとも思って見、思い思って五日と経ったが返詞へんじが無い
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
記憶がややおぼろげになってはいるが又かえってそれがめに、或る廉々かどかどがアクサンチュエエせられて、かすんだ、濁った、しかも強い色にいろどられて、古びた想像のしまってある
百物語 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
先ず第一に朝命をかろんじて早く北条攻に出陣しなかったこと、それから蘆名義広を逐払おいはらって私に会津を奪ったこと、二本松を攻略し、須賀川をほふり、勝手に四隣を蚕食した廉々かどかどを詰問した。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
維持して行くに有利だと思う廉々かどかどを話していた。
今まで尽した忠義の廉々かどかど
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)