庄司しょうじ)” の例文
小次郎は忘れていたが、そういわれて、小仏こぼとけの上で出会った角屋すみやの一行を思い出し、その庄司しょうじ甚内が、ここのあるじということも分って
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
柴の里の庄司しょうじの一人女子むすめで、大内おおうち采女うねめにあずかっていたのが婿を迎えることになり、媒氏なこうどをもって豊雄の家へ云って来た。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
昔は村国の庄司しょうじと云って、その家の旧記によると、文治ぶんじ年中、義経よしつねと静御前とが吉野へ落ちた時、そこに逗留とうりゅうしていたことがあると云われる。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
爾来研磨けんま幾星霜いくせいそう、千葉道場の四天王たる、庄司しょうじ弁吉、海保かいほ半平、井上八郎、塚田幸平、これらの儕輩せいはいにぬきんでて、実に今では一人武者であった。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
野々宮さんと広田先生のあいだにしまの羽織を着た批評家がすわった。向こうには庄司しょうじという博士が座に着いた。これは与次郎のいわゆる文科で有力な教授である。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「まず——紀州牟婁郡真砂むろごおりまさごの里に清次きよつぐ庄司しょうじという方がおありなすったと思召おぼしめせ」
大菩薩峠:05 龍神の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
おい庄司しょうじ千蔵にとっては又とない面会の好機だった。
評釈勘忍記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
まず、相模さがみの住人大庭三郎景親とか、河村三郎義秀、渋谷庄司しょうじ重国、糟谷権守かすやのごんのかみ盛久などは、その旗頭格はたがしらかくといってよい。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
土屋勘解由かげゆ、水野弥一兵衛、庄司しょうじ仙三郎、近藤幹雄みきお中坊陽之助ちゅうぼうようのすけ、長坂血槍九郎、本田龍平、こう七人で、吉宗の弓馬の相手に近ごろ選び出された倔強くっきょうの者たちでした。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『お、伏原様に庄司しょうじ様、お揃いで——』
死んだ千鳥 (新字新仮名) / 吉川英治(著)