幽界ゆうかい)” の例文
現世げんせかたかられば一ぺん夢物語ゆめものがたりのようにきこえるでございましょうが、そこが現世げんせ幽界ゆうかいとの相違そういなのだからなんとも致方いたしかたがございませぬ。
貴方様は京浜国道で、自動車を電柱に衝突なさいまして、御頓死ごとんし遊ばしましたのですぞ。貴方様は幽界ゆうかいにお入りになって、唯今ただいまから幻影げんえいを御覧になっています。
西湖の屍人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
現在の後生観ごしょうかんは、いずれの島でも漠然ばくぜんとし、また村ごとの差異も著しいようであり、一方にはまた二種幽界ゆうかいの思想が起こって、かなりの混乱を与えてもいるが
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
幽界ゆうかいでは、くらいも、あかるいもすべてそのひと器量次第きりょうしだいこころあかるいものは何所どこてもあかるく、こころくらいものは、何所どこってもくらい……。
反抗のない生活——そこにも漢青年は、幽界ゆうかいらしい特徴を発見した。
西湖の屍人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
わたくしどもとても、幽界ゆうかいはいったばかりの当座とうざは、なにやらすべてがたよりなく、また飽気あっけなくおもわれて仕方しかたがなかったもので……。