帰国かえ)” の例文
旧字:歸國
安重根 (しんみりと)やはり故里くにの人間でねえ、僕んところから三里ほどしか離れてないんだが、今度休暇を取って、ちょっと帰国かえるんだそうだ。
偏屈の源因げんいんであるから、たちまち青筋を立てて了って、あてにしていた貴所あなた挙動ふるまいすらも疳癪かんしゃくの種となり、ついに自分で立てた目的を自分で打壊たたきこわして帰国かえって了われたものと拙者は信ずる
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
からだがくと、休養かたがた江戸見物に呼ばれて来て、何カ月もぶらぶらしている。そうかと思うと、ふっと、帰国かえされて、また焼津の浜から船へ乗り込んで、どこへとも知らず錨を上げる。
ごうが煮えてたまらんから乃公は直ぐ帰国かえろうと支度したくを為ているとちょうど高山がやって来て驚いた顔をしてこう言うのだ、折角連れて来たのだから娘だけは井下伯にでもあずけたらどうだろう
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
富岡先生が突然上京してから一週間目のことであった、先生は梅子を伴うて帰国かえって来た。校長細川は「今帰国かえったから今夜遊びに来い」との老先生の手紙を読んだ時には思わず四辺あたりを見廻わした。
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)