巴里ぱり)” の例文
私はこの男と共に、巴里ぱり一寓いちぐうに住まって、朝夕皿を洗ったり、煮物をしたりして、つまり二人で自炊生活を営んでいたのであった。
感応 (新字新仮名) / 岩村透(著)
そうでしょうよ流行社会の理髪師で巴里ぱり中の美人は一人残らずの人の手に掛ッて髪をくねらせて貰ッたと云う程ですもの目
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
以前その女の身を誤らせたことのある青年が巴里ぱりからはるばるとその村までその女に逢いに来る。彼はその若い女を偶然村の教会のなかに見出す。
木の十字架 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
やれ今では巴里ぱりではどんなかみの風が流行はやるの。どんな服製がはやるのと。そんなことばかり聞きたがるのサ。僕は西洋の学問と芸術には感心するが。風俗には決して心酔はしない。
藪の鶯 (新字新仮名) / 三宅花圃(著)
ローマネスク、ゴシツク時代じだいになると、餘程よほど進歩しんぽして一のまとまつたものが出來できた。たとへば巴里ぱりのノートルダムの寺塔じたふ有名いうめい怪物くわいぶつ繼合物つぎあはせものではなくて立派りつぱまとまつた創作さうさくになつてる。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
巴里ぱりの都に
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
この人は彼地かのち有名の銀行家ビショップ氏の推薦により、特に布哇はわい出身の美術家を養成する目的で、この巴里ぱりの美術学校へ送られたのである。
感応 (新字新仮名) / 岩村透(著)
忌嫌いみきらう間違ッた人もあろうけれど一日でも此巴里ぱりに探偵が無かッて見るが好い悪人が跋扈ばっこして巴里中の人は落々おち/\眠る事も出来ぬからさ、私は探偵の職業を
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
私がまだ巴里ぱり画生がせいをしていた時分は、一緒に部屋借りをしていたのは、布哇はわい生れの米国人であった。
感応 (新字新仮名) / 岩村透(著)