)” の例文
さんざんまわりをこぎまわりますと、やっとたいらなのようなところがあって、しまの中からちいさな川がそこにながしていました。
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
河原のいちばん下流の方へのようになって出たところに人の集りがくっきりまっ黒に立っていました。ジョバンニはどんどんそっちへ走りました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
に騒ぎ鳴く暁方の千鳥の声が人々の恨みをまし、磯にこぐ梶の音が夜半に悲しく伝われば、小屋に伏す者の心を傷めた。眠られぬ夜は続き、平家の人々は人の影にも怯えていた。
風浪の日はおそろしいが、晴れた日は、山をめぐる白雲、太古の密林、そして、目路めじのかぎりな芦のからよしなぎさとつづいて、まるで唐画の“芦荻山水ろてきさんすい”でも見るような風光だった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
狩小屋から二時間も下らないうちに、大きくをなした川原についた。ふりかえると念丈の頂の雲のとばりは静々と引きあげられて、三日越しの雨空が、徐々に退却して行くらしかった。
二つの松川 (新字新仮名) / 細井吉造(著)