岐阜提灯ぎふぢやうちん)” の例文
旧字:岐阜提燈
先生は、警抜な一章を読み了る毎に、黄いろい布表紙の本を、膝の上へ置いて、ヴエランダに吊してある岐阜提灯ぎふぢやうちんの方を、漫然と一瞥いちべつする。
手巾 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
第一だいいち二階にかい其窓そのまどにも、階下した縁先えんさきにも、とり/″\に風情ふぜいへる、岐阜提灯ぎふぢやうちんと、鐵燈籠かなどうろうすだれ葭簀よしずすゞしいいろ
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
三間間口の店で、半分は大戸を下ろしてありますが、店の灯の屆かないところに、岐阜提灯ぎふぢやうちんをブラさげて、その上に月があるのですから、縁臺碁に不自由はありません。
中二階ちうにかい六疊ろくでふなかにはさんで、梯子段はしごだんわかれて二階にかい二間ふたま八疊はちでふ十疊じふでふ——ざつとこの間取まどりで、なかんづくその中二階ちうにかいあをすだれに、むらさきふさのしつとりした岐阜提灯ぎふぢやうちん淺葱あさぎにすくのに
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)